連載 多国籍軍に学ぶ組織変革(最新連載)

143. 悪い話を聞け!

「部下の状況報告に耳を傾ける姿勢は戦場の指揮官に不可欠だ」と、ダミアン・マッキニーは言う。古くはモスクワ侵攻で敗れたナポレオンや、スターリングラードで惨敗したヒトラーも、現場から悪い情報が上がらなくなった事が大きな敗因だ。

悪い情報に耳を傾けると対策が立てられる。

悪い情報に耳を傾けると現場の士気を上げられる。

リーダーの度量の見せ所だ。

 

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50. 聴くか?死ぬか?

 

ダミアン・マッキニー  元英国海兵隊将校。大英帝国五等勲爵士(MBE)。1999年マッキニーロジャーズ設立。東アフリカ、ケニア生まれ。

   

142. 指揮系統を一つにする

「二つの軍隊は決して同じ舞台に置かれてはならない」とはナポレオンの言葉だ。しかし「現在の紛争地帯では、各国の司令官は『自国の意向』と『多国籍軍の総司令官の命令』というマトリクス組織に置かれる」とサー・ロバート・フライは言う。「重要なのは、最前線の兵士に決して二つの命令がいかないようにすることだ」。

グローバルビジネスも同じだ。

上部組織でマトリクス構造を吸収し、現場への指揮系統を一つにする企業は強い。

 

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88. 二つ上のミッションを理解する

 

 サー・ロバート・フライ  元英国海兵隊中将 (KCB, CBE)。9.11同時多発テロ対応英国軍事戦略責任者、英国国防省作戦本部長、イラク多国籍軍副司令官等を歴任。ロンドン市名誉市民。 https://en.wikipedia.org/wiki/Robert_Fry 

   

141. 言語の境界を越える

多国籍軍では現地政府軍との連携が欠かせないが、流暢な英語を話す現地幹部は限られる。ダミアン・マッキニーは言う。「簡潔な英語で話し誤訳を防ぐ。不明点を質問し誤解を修正する。兵士の表情から不安を感じ取る。言語の境界を越えて互いを理解するスキルが生死を分ける」。

異国のチームをマネージするスキルはグローバルビジネスでも不可欠だ。

 

 

ダミアン・マッキニー  元英国海兵隊将校。大英帝国五等勲爵士(MBE)。1999年マッキニーロジャーズ設立。東アフリカ、ケニア生まれ。

   

140. 霧の中で決断する

戦場の情報は不完全で流動的だ。軍隊ではこれを『戦場の霧』と呼ぶ。ダミアン・マッキニーは言う。「霧の中、十分な根拠と確信無しに決断するのが指揮官の仕事だ」。

昨今のビジネス界ではビッグデータとAIで『戦場の霧』は晴れてきたように感じる。しかし、例えば購買履歴は把握できても、購買心理はつかめない。

リーダーは更に深い霧の中での決断を求められている。

 

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123. ヒューミントが勝敗を決める

 

ダミアン・マッキニー  元英国海兵隊将校。大英帝国五等勲爵士(MBE)。1999年マッキニーロジャーズ設立。東アフリカ、ケニア生まれ。

   

139. 私はここにいる

「ゼレンスキーは今をときめく指導者だ。国民と共にあり、逃げ隠れすることなく陣頭指揮に当たっている」と、ダミアン・マッキニーは言う。

2月24日に始まったロシアのウクライナ侵攻直後、夜のキエフ市街からゼレンスキーと政府幹部たちが配信した「独立を守る。私たちはここにいる」という動画は国民を奮い立たせた。

目的を明示し、その実現に全てを賭けるリーダーは人々の心に火を点ける。

 

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92. 存在を示す

 

ダミアン・マッキニー  元英国海兵隊将校。大英帝国五等勲爵士(MBE)。1999年マッキニーロジャーズ設立。東アフリカ、ケニア生まれ。

   

138. 向こう傷を恐れるな

大規模な軍事作戦を実行すれば必ず死傷者が出る。部下を死なせた事が無い指揮官は、最前線に出たことが無いか、出てもリスクをとらなかった人間だ。ダミアン・マッキニーは言う。「私は向こう傷のあるリーダーしか信用しない」。

ビジネスでも、自分の決断が会社に損害を与えたり、部下のキャリアに傷をつけてしまう事が起こる。

その経験を生かして世の中に貢献するのがリーダーだ。

 

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129. 敵前逃亡は銃殺

 

ダミアン・マッキニー  元英国海兵隊将校。大英帝国五等勲爵士(MBE)。1999年マッキニーロジャーズ設立。東アフリカ、ケニア生まれ。

   

137. 決定的瞬間を捉える

「多くの戦争には趨勢を決定づける瞬間がある。その瞬間を捉える事、その瞬間に正しい行動をとる事が、国の運命を決める」とダミアン・マッキニーは言う。第二次世界大戦のパリ解放時には、ド・ゴール将軍が連合軍の先陣を切って凱旋門をくぐった事がフランスを戦後秩序の中心メンバーに押し上げた。

決定的瞬間をモノにするには、『俯瞰した分析』と『行動する勇気』が不可欠だ。

 

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61. 運を掴め!

123. ヒューミントが勝敗を決める

 

ダミアン・マッキニー  元英国海兵隊将校。大英帝国五等勲爵士(MBE)。1999年マッキニーロジャーズ設立。東アフリカ、ケニア生まれ。

   

136. 清濁併せ呑む

紛争地帯では誤爆や民間人の巻き添えは避けられない。マーク・ノートン曰く、「巻き添えを防ぐために最大限の努力はするが、事故を恐れていてはミッションを達成できない」。

ビジネスでも綺麗ごとでは片づけられない場合が存在する。その存在を否定すると、そこで奮闘している社員が浮かばれない。

リーダーには、『正しい目的』と『現実の対応』という清濁を併せ呑む器が求められる。

 

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99. 犠牲を直視して決断する

 

マーク・ノートン  元英国陸軍将校。元サンドハースト王立陸軍士官学校教官

   

135. 電撃戦を可能にする

第二次世界大戦でドイツ軍は『電撃戦』により瞬く間にパリを占領した。第一次大戦の塹壕戦しか想定していなかったフランスは、ドイツ軍の高速移動に全く対応できなかったのだ。ダミアン・マッキニーは言う。「電撃戦を可能にしたのは、戦車と航空機という最新兵器の活用に加え、現場への権限委譲を確立していた事だ。電撃戦では状況変化が極めて速く、中央集権では有効な命令を出せないからだ」。

事業環境の変化が速い現代のビジネスでも、権限委譲が不可欠なのは自明だ。

 

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48. 危機下こそ任せろ

58. やり方を変える

 

ダミアン・マッキニー  元英国海兵隊将校。大英帝国五等勲爵士(MBE)。1999年マッキニーロジャーズ設立。東アフリカ、ケニア生まれ。

   

134. 自分を超えるリーダーをつくる

自分より劣るリーダーをつくり続けたら組織が衰退する事は自明だ。ダミアン・マッキニーは言う。「自分より遅い時期に、自分より狭い責任範囲で、自分より甘くして育てても、自分を超えるリーダーはつくれない」。

技術進歩と環境変化が加速する現代にあって、組織を持続させるには潜在力のある人間を早い段階から鍛え上げることが不可欠だ。

 

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80. 一つ上の訓練をクリアする

101. リーダーだけがリーダーを教えられる

 

ダミアン・マッキニー  元英国海兵隊将校。大英帝国五等勲爵士(MBE)。1999年マッキニーロジャーズ設立。東アフリカ、ケニア生まれ。

   

133. 摩擦を克服する

良い戦略と十分なリソースだけでミッションは達成出来ない。ダミアン・マッキニーは言う。「軍隊では戦闘が作戦通りに進まなくなる要因を『摩擦』と呼ぶ。代表的な摩擦は、兵士の戦略理解不足、士気の低下、想定外の事態の3つだ」。

複雑な環境下では摩擦が増える。簡潔なミッションによる全員の戦略理解、リーダーの言動を通じた士気向上、現場への権限委譲による想定外の事態への柔軟な対応が不可欠だ。

 

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64. ぶれない仕組みをつくる

67. シンプルなものは修正できる

 

ダミアン・マッキニー  元英国海兵隊将校。大英帝国五等勲爵士(MBE)。1999年マッキニーロジャーズ設立。東アフリカ、ケニア生まれ。

   

132. 育ちを見抜く

「怠けない、虐めない、嘘をつかない、は軍隊指揮官に必須な資質だ。『育ち』と言っても良い。能力があってもこの三つに欠ける人間は士官学校を卒業させない。戦場で部隊の壊滅を起こすからだ」と、マーク・ノートンは言う。

『育ち』の良い人間の中から能力のあるリーダーを選ぶ組織は強い。

 

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60. 資質を炙り出す

63. 試練と教育がリーダーを創る

96. 覚悟を見極める

 

マーク・ノートン  元英国陸軍将校。元サンドハースト王立陸軍士官学校教官。 

   

131. 面従腹背が組織を潰す

「上官が部下の前で参謀本部の決めた作戦の批判をすると、兵士の士気を挫き部隊のパフォーマンスを下げる」ダミアン・マッキニーは言う。「部下に戦略の成功を確信させられない人間は士官学校を卒業する事すらできない」。

疑心暗鬼になった社員のパフォーマンスは低い。パフォーマンスの低い社員は低評価を受ける。上司による面従腹背の直接の被害者は部下たちだ。

組織が決めた戦略の遂行に上司がどれだけ腹を括れるかが、部下の将来を左右する。

 

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51. 言うか?死ぬか?

64. ぶれない仕組みをつくる

 

ダミアン・マッキニー  元英国海兵隊将校。大英帝国五等勲爵士(MBE)。1999年マッキニーロジャーズ設立。東アフリカ、ケニア生まれ。

   

130. 最前線に出ろ

勝つべくして勝つ戦いの指揮は誰にでも執れる。困難な戦いを勝利に導くのが本物のリーダーだ。ダミアン・マッキニー曰く、「古くはアレキサンダー大王、近年では第二次世界大戦のパットン将軍など、不可能を可能にしたリーダーは常に最前線にいた」。彼らは兵士として戦っていたのではない。最前線に出ることで厳しい状況を把握し、指揮官として最善の決断をしていたのだ。

ビジネス現場にも知らないで済ませたい真実がある。ただ、一見袋小路の状況で打開策を発見させてくれるのも現場だ。

リーダーが現場に出る組織は強い。

 

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92. 存在を示す

110. 任せられない瞬間を見極める

 

ダミアン・マッキニー  元英国海兵隊将校。大英帝国五等勲爵士(MBE)。1999年マッキニーロジャーズ設立。東アフリカ、ケニア生まれ。

   

129. 敵前逃亡は銃殺

危なくなったら逃げ出せば良いと思っている兵士がいては最新兵器も高度な作戦も意味をなさない。だから、どの国の軍規でも敵前逃亡は重罪だ。ダミアン・マッキニーは言う。「軍人は入隊時に軍規に署名して運命共同体の一員になる。いかなる困難も乗り越える軍隊の根底には、誰一人逃げ出さないという契約が存在する」。

人材流動性の高いグローバル企業では業績が悪化してくると優秀な社員の離職が当たり前に起こる。

一方、転職市場が未発達の日本では、会社を立て直そうと奮闘する生え抜き社員が数多く存在する。

グローバル企業とは異なる生態系を生かして成功する方法があるはずだ。

 

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46. 真のパラシュート部隊を作れ

96. 覚悟を見極める

 

ダミアン・マッキニー  元英国海兵隊将校。大英帝国五等勲爵士(MBE)。1999年マッキニーロジャーズ設立。東アフリカ、ケニア生まれ。

   

128. 恐怖をコントロールする

兵士は『死の恐怖』と『何をすべきか分からない』状況が同時に起こるとパニックになる。パニックになると動けなくなる。動けなくなると更に死ぬ確率が上がる。軍隊でも特に危険なパラシュート部隊を指揮したアレックス・マッケンジーは言う。「敵陣後方に降下する恐怖は尋常ではない。だから降下後は、自分の着地点と部隊との合流地点を確認し、即座に行動を開始する。恐怖を消すことはできないが、『何をすべきか』を明確にする事は出来る。恐怖だけならパニックにならない」。

『正確な情報』と『明確な目標』があれば恐怖をコントロールできる。

 

 

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64. ぶれない仕組みをつくる

107. 軍事演習から学ぶ

 

アレックス・マッケンジー  元英国陸軍将校。アフガニスタン戦争でパラシュート部隊指揮官を務めた。地雷で足を失った兵士たちによるカヌーでの大西洋横断Row2Recovery 創設者。

   

127. 期限が組織の力を引き出す

軍隊将校の持つ強烈な習慣の一つが期限を明確に決める事だ。ダミアン・マッキニーは言う。「作戦ミッションの達成期日が明確だから戦術とリソースを決められる。当日アクションの達成時刻が明確だからチーム間の連動がとれる。期限の明確化はプレッシャーをかける為だけではない」。

常に期限を明確にする習慣のある組織は強い。

 

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71. 数字で魂を伝える

121. 規律が創造力を生む

 

ダミアン・マッキニー  元英国海兵隊将校。大英帝国五等勲爵士(MBE)。1999年マッキニーロジャーズ設立。東アフリカ、ケニア生まれ。

   

126. 飽きるまで繰り返す

「総司令官自身がミッションを繰り返し言う事に辟易として来たら上出来だ。直属部下の指揮官たちも同じ内容を話すようになっている」とダミアン・マッキニーは言う。

社長から課長まで、管理職全員が同じメッセージを発信している企業は強い。

 

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88. 二つ上のミッションを理解する

103. 二階層の組織を動かす

 

ダミアン・マッキニー  元英国海兵隊将校。大英帝国五等勲爵士(MBE)。1999年マッキニーロジャーズ設立。東アフリカ、ケニア生まれ。

   

125. 役割分担にこだわらない

現代の軍隊はミッション達成の為に各自の役割を柔軟に変える。ダミアン・マッキニーは言う。「戦闘は作業ではない。予測不可能なテロリスト戦で、兵士が自分の役割に固執すると死ぬ確率が上がる」。

役割分担を目的にすると失敗する確率が上がる。

役割分担を手段にすると成功する確率が上がる。

 

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59. 全員で考える

109. チームワークを極める

 

ダミアン・マッキニー  元英国海兵隊将校。大英帝国五等勲爵士(MBE)。1999年マッキニーロジャーズ設立。東アフリカ、ケニア生まれ。

   

124. リスペクトを忘れない

「紛争地帯での平和維持活動で兵士の命を守るのは現地の住民との信頼関係だ」ダミアン・マッキニーは言う。「彼ら全員に敵愾心を持たれたらどんな武器を持っていても生き残れない」。

ビジネスリーダーにとっても社員へのリスペクトは不可欠だ。

リーダーのリスペクトを感じた社員はリスペクトで応える。

 

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83. 部下の感情を言語化する

93. 全力で褒める

113. 見守るから信頼が生まれる

 

ダミアン・マッキニー  元英国海兵隊将校。大英帝国五等勲爵士(MBE)。1999年マッキニーロジャーズ設立。東アフリカ、ケニア生まれ。

   

123. ヒューミントが勝敗を決める

軍の諜報機関では、人間が収集する情報をHUMINT(Human Intelligence)と呼ぶ。公開情報はOSINT(Open Source Intelligence)、盗聴やハッキングで得られる信号情報はSIGINT(Signal Intelligence)だ。ダミアン・マッキニーは言う。「デジタル変革でOSINTとSIGINTによる情報量が飛躍的に増えた結果、HUMINTの役割が高度化した。現代の諜報部員に求められるのは、得られた情報の背後にある仮想敵の『意図』と、彼らが行動に踏み切る『士気』の高さを読み取る力だ」。

ビジネスでも人間にしかできないことの質を高めた組織が勝つ。

 

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73. 偶然を必然に変える

76. 勝者から学ぶ

84. インテリジェンスを使う

 

ダミアン・マッキニー  元英国海兵隊将校。大英帝国五等勲爵士(MBE)。1999年マッキニーロジャーズ設立。東アフリカ、ケニア生まれ。

   

122. 信念を言葉にする

「覚悟の無いリーダーの言葉は瞬時に嘘だと見抜かれる。生死のかかった人間の直感は鋭い」。サー・ロバート・フライは言う。「リーダーが綺麗事で鼓舞しても兵士には響かない」。信念の無い言葉は覚悟の無さを露呈させる。

信念と言葉の両方を持つリーダーが部下の心に火をつける。

 

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57. 自信を伝える

108. 言葉は契約

 

サー・ロバート・フライ  元英国海兵隊中将 (KCB, CBE)。9.11同時多発テロ対応英国軍事戦略責任者、英国国防省作戦本部長、イラク多国籍軍副司令官等を歴任。ロンドン市名誉市民。 https://en.wikipedia.org/wiki/Robert_Fry 

   

121. 規律が創造力を生む

「軍隊規律は習慣を創り、習慣が無駄を省く。規律が思考や行動に必要な時間を生み出す。規律の目的は兵士の行動制御だけではない。」ダミアン・マッキニーは言う。「例えば、命令に修飾語は不要という規律があるから、上官は美文を書く労力に時間を無駄遣いしない。全員が戦闘に集中できる」。

ビジネスでも、報告書の書式や定例会議の日程など、規律を活用すれば業務の質が変わる。

規律が創造力を生む事を知る組織は強い。

 

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71. 数字で魂を伝える

90. 生きた状況報告をする

 

ダミアン・マッキニー  元英国海兵隊将校。大英帝国五等勲爵士(MBE)。1999年マッキニーロジャーズ設立。東アフリカ、ケニア生まれ。

   

120. 部下の失敗を許容する

戦場での失敗は文字通り生死に関わるが、その場で叱責してもマイナスしか生まない。マーク・ノートンは言う。「戦闘中の失敗は必ず起こる。将校は訓練を通じて失敗した部下を委縮させない言動を身に着ける。生まれながらにして部下の失敗を受け入れられる人間はいない」。

上司の心の平静、余裕の態度、緊張を解く言葉が組織を死地から救い出す。

 

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65. 戦場に兵士を置き去りにしない

95. 過去に寛大に、未来に厳しく

 

マーク・ノートン  元英国陸軍将校。元サンドハースト王立陸軍士官学校教官。 

   

119. 独断専行をミッションに連動させる

「パットンは常に自ら判断してミッションを達成した」。第二次世界大戦で異彩を放った米国のパットン将軍はダミアン・マッキニーのお気に入りだ。「連合軍がシチリア島で正面攻撃を仕掛けた際、先頭の英国軍が苦戦して立ち往生すると、後方のパットンは勝手に迂回して側面攻撃に転じ、英国より先に要衝メッシーナを陥落させた」。独断専行を好結果につなげるのは組織ミッションの共有だ。

 

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1. 敵を知る

18. 最初の一撃でプランが変わる

49. ミッションから逆算しろ

 

ダミアン・マッキニー  元英国海兵隊将校。大英帝国五等勲爵士(MBE)。1999年マッキニーロジャーズ設立。東アフリカ、ケニア生まれ。

   

118. ハーモニーで生き残る

「戦場の多国籍軍がハーモニー(調和)を失うと、戦闘行動に不可欠な組織効率が著しく落ちる」。アフガニスタンの激戦地で最前線を指揮したサー・ゴードン・メッセンジャーは断言する。「各国の指揮官には謙虚さと共感が求められる」。現代の戦場ではグローバルビジネス同様、国を超えたチームプレイが必須なのだ。

異なる国の上官同士のハーモニーが現場兵士の生存確率を上げる。異なる文化の上司同士のハーモニーが現場社員の成功確率を上げる。

 

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107. 軍事演習から学ぶ

109. チームワークを極める

 

サー・ゴードン・メッセンジャー  大英帝国二等勲爵士(KCB)、前英国統合参謀次長、トップレベルの作戦の決断と実行に携わる。20年以上に渡り最前線を指揮。

https://en.wikipedia.org/wiki/Gordon_Messenger

   

117. 無駄な抵抗を見極める

軍人は不屈の闘志と無駄な抵抗を混同しない。無謀な作戦による戦死にはdeathではなくwaste(無駄死に)という言葉を使う。ダミアン・マッキニーは言う。「沢を登っている途中で上流のダムが決壊したら、身を任せて流れに乗る。平地に行けば必ず止まる。無駄な抵抗は体力を消耗し負傷をするだけだ。ミッション達成が遠のく」。

成功への執着があるからこそ、遅滞を受容できる。

 

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18. 最初の一撃でプランが変わる

49. ミッションから逆算しろ

 

ダミアン・マッキニー  元英国海兵隊将校。大英帝国五等勲爵士(MBE)。1999年マッキニーロジャーズ設立。東アフリカ、ケニア生まれ。

   

116. 時間内に合意する

軍隊指揮官は優秀なファシリテーターだ。サー・ロバート・フライは言う。「上官の仕事は、限られた時間内に部下から情報やアイデアを引き出し決断する事だ。リーダーのファシリテーションがチームの生死を分ける」。

ビジネスでも会議運営の技術を持ち、「時間内に最善の合意が出来る」リーダーがチームを成功に導く。

 

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39. 見る・聞く・感じる

50. 聴くか?死ぬか?

 

サー・ロバート・フライ  元英国海兵隊中将 (KCB, CBE)。9.11同時多発テロ対応英国軍事戦略責任者、英国国防省作戦本部長、イラク多国籍軍副司令官等を歴任。ロンドン市名誉市民。 https://en.wikipedia.org/wiki/Robert_Fry 

   

115. 悪のリーダーを侮るな

ヒトラーに象徴される悪のリーダーは、どの時代、どの組織にも生まれ得る。ダミアン・マッキニーは言う。「人としては悪でも、リーダーとしてのスキルが高く、強い影響力を持つ人間はいる」。自らの影響力に自信があるならば、善に基づく行動を取る責任がある。自らの善を信じるならば、リーダーとしてのスキルを磨き、悪に勝つ影響力を持つ責任がある。

 

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85. リーダーシップとは影響力

86. 権力の濫用が思考を止める

 

ダミアン・マッキニー  元英国海兵隊将校。大英帝国五等勲爵士(MBE)。1999年マッキニーロジャーズ設立。東アフリカ、ケニア生まれ。

   

114. ゴミを入れればゴミが出てくる

ダミアン・マッキニーは言う。「上官の曖昧な指示は部下の間違った行動を生む。部下がおかしな行動をとったら、上官はまず自分の指示を疑う。具体的な指示、重要なものだけを選んだ指示が部下の正しい行動を引き出す」。

米国陸軍将校が提唱したGarbage In, Garbage Outという警鐘は広くビジネス界でも引用されている。

 

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4. 簡潔なものは実行される

38. 抽象的な計画は死をもたらす

 

ダミアン・マッキニー  元英国海兵隊将校。大英帝国五等勲爵士(MBE)。1999年マッキニーロジャーズ設立。東アフリカ、ケニア生まれ。

   

113. 見守るから信頼が生まれる

ウサマ・ビン・ラディン殺害作戦の最中、政権の中枢メンバーはホワイトハウス地下の危機管理室に集まり、実行部隊兵士のヘルメットに装着されたカメラを通してリアルタイム映像を見守った。オバマ大統領、クリントン国務長官、バイデン副大統領らが食い入るように画面を見ている写真が残っている。ダミアン・マッキニーは言う。「極秘ミッションを担う兵士の気持ちになってみろ。大統領に見守られていることが如何にモティベーションを高めるかが分かる」。

信頼しているから見守るのではなく、見守るから信頼が伝わる。信頼されていると感じた部下が最高の働きをする。

 

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27. 信頼する前に任せる

106. 任せて心に火をつける

 

ダミアン・マッキニー  元英国海兵隊将校。大英帝国五等勲爵士(MBE)。1999年マッキニーロジャーズ設立。東アフリカ、ケニア生まれ。

   

112. 切磋琢磨してみないか?

士官学校は集団訓練を通じて若者をリーダーに変える場所だ。マーク・ノートンは言う。「士官学校の厳しい訓練を一人で耐え抜くことは出来ない。もし出来るならば訓練が甘過ぎる。互いに切磋琢磨し極限を共有した仲間は絆をつくり、将来の軍の中核となる」。

好敵手を見つけ競い合う事が互いの限界を高める。

 

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14. 士官は作られ将軍は生まれる

24. 質より数

28. 死なせたくないから厳しくできる

 

マーク・ノートン  元英国陸軍将校。元サンドハースト王立陸軍士官学校教官。 

   

111. 情報共有が生死を分ける

テロリストの潜伏情報は常に変わる。ジェームズ・キャメロンは言う。「かつての正規軍同士の戦いでは自軍の戦略を確実に遂行すれば勝てた。しかし、現代の対テロ戦では敵の情報が自軍の行動を次々と変える。どんなに優秀な指揮官でも情報が無ければ判断を間違える」。

 

最新の情報を全員で共有する文化と仕組みがある組織は強い。

 

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1. 敵を知る

84. インテリジェンスを使う

 

ジェームズ・キャメロン  元英国陸軍将校。英国陸軍参謀本部最優秀将校(受賞2回)。大英帝国三等勲爵士(CBE)。最年少でサンドハースト王立陸軍士官学校教官就任。元英国国防省テロ対策部長補佐。2005年のロンドン市内テロ発生時の政府の危機管理対策委員会(COBRA)メンバー。 

   

110. 任せられない瞬間を見極める

Mission Leadership® の基本は部下に任せる事だ。しかし、ミッション達成が困難になった時は上司が介入する。ダミアン・マッキニーは言う。「任せる事は目的ではない。任せる事はミッション達成の手段だ」。

軍人は上官の動きをヘリコプターに例える。上司は常に上空から俯瞰する。チームミッションの達成を危うくする問題を発見したら、着陸して直接解決する。解決したら離陸して俯瞰に戻る。

 

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3. 「任せる」と「丸投げ」は違う

27. 信頼する前に任せる

106. 任せて心に火をつける

 

ダミアン・マッキニー  元英国海兵隊将校。大英帝国五等勲爵士(MBE)。1999年マッキニーロジャーズ設立。東アフリカ、ケニア生まれ。

   

109. チームワークを極める

ジェッド・ストーンは言う。「戦闘は命をかけたチームプレイだ。指揮官には冷静な判断や強い信念など、常人を超えた能力が求められる。それを訓練で習得させるのが軍隊だ」。軍人による究極のチームワークはNASAでも活用されてきた。アポロ11号でタッグを組んだアームストロング船長は海軍、オルドリン飛行士は空軍出身だ。

ビジネスは生活のかかったチームプレイだ。軍隊から学び、磨く事は多い。

 

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15. 勝つとチームになる

28. 死なせたくないから厳しくできる

40. カネで命は捨てられない

 

ジェッド・ストーン  元英国海兵隊将校, 王立海軍学校幹部養成プログラム卒業、山岳共同作戦のスペシャリスト、元鋼鉄ワイヤー滑降世界記録保持者。

   

108. 言葉は契約

戦場での指示は全て口頭だ。言った、言わないは許されない。ダミアン・マッキニーは言う。「言葉を信じられない上官に命を預けられるはずがない」。

驚異的な成功を収めているビジネスリーダーの多くも、自らの発言に契約書のサインと同等の信用を得ている。

 

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9. 後ろから撃たれる上司

57. 自信を伝える

 

ダミアン・マッキニー  元英国海兵隊将校。大英帝国五等勲爵士(MBE)。1999年マッキニーロジャーズ設立。東アフリカ、ケニア生まれ。

   

107. 軍事演習から学ぶ

軍隊では、自軍がブルーチーム、敵軍がレッドチームと分かれて机上で作戦シミュレーションを行う。図上演習だ。リチャード・ワッツは言う。「命のかかった戦いに、作戦資料の束だけ渡されて臨めるはずがない。敵の目を通すと自軍の甘さが見える。プランBの必要性に気づく」。

重要なビジネスプロジェクトに臨む場合も、シミュレーションで競合、顧客、社員の立場を経験すると、本番の成功確率が上がる。

 

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64. ぶれない仕組みをつくる

75. 疑問を取り除く

87. 最悪を考える

 

リチャード・ワッツ  元英国海兵隊将校。大英帝国四等勲爵士(OBE)。アシュリッジ・ビジネススクール、マンチェスター・ビジネススクール修了。

   

106. 任せて心に火をつける

想定外の事態が当たり前に起こる戦場では、現場の兵士に判断と行動を任せる事が不可避だ。ダミアン・マッキニーは言う。「上官から任されることで信頼を感じた部下は、期待以上の働きをする」。

任せる範囲は頭で決める。任せる覚悟は心で伝える。

 

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13.「任せる」と「丸投げ」は違う

27. 信頼する前に任せる

48. 危機下こそ任せろ

 

ダミアン・マッキニー  元英国海兵隊将校。大英帝国五等勲爵士(MBE)。1999年マッキニーロジャーズ設立。東アフリカ、ケニア生まれ。

   

105. 羽目を外そう!

戦争に勝利した直後の歓喜は半端ではない。第二次世界大戦のパリ解放時の映像を見た人は多いだろう。ダミアン・マッキニーは言う。「極限状態が続いた後は緊張を解き放つ機会が不可欠だ」。

ビジネス界ではコンプライアンスが厳しくなり、コロナが追い打ちをかける。それでも羽目を外す機会は重要だ。コロナ前に使っていた時間とお金を活用してクリエイティブに考えればやり方はある。

 

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102. 組織はブランド

 

ダミアン・マッキニー  元英国海兵隊将校。大英帝国五等勲爵士(MBE)。1999年マッキニーロジャーズ設立。東アフリカ、ケニア生まれ。

   

104. 戦略が行動を決める

ダミアン・マッキニーは言う。「戦闘の本質は破壊と殺戮で不変だが、具体的な作戦行動は戦略ビジョン次第で変わる。地勢学的影響力を守る為なら油田を破壊する。経済的利権を守る為なら油田を奪取する。国家戦略が戦闘行動を変える」。

同じ顧客に同じ商品でビジネスをしていても、企業戦略が変われば価格体系や訪問頻度が変わる。

戦略ビジョンと現場の行動が連動している組織は強い。

 

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ダミアン・マッキニー  元英国海兵隊将校。大英帝国五等勲爵士(MBE)。1999年マッキニーロジャーズ設立。東アフリカ、ケニア生まれ。

   

103. 二階層の組織を動かす

士官学校は将校として二階層のマネジメントを習得する場だ。卒業して実戦配備されると、軍曹数名を通じて約50人の兵士を率いる。ジェームズ・キャメロンは言う。「軍曹が直接部下を率いるのと、少尉が軍曹を介して間接的に率いるのは別物だ。直接指揮は経験で習得出来るが、間接指揮には体系的なスキルが必要だ」。

ビジネスでも二階層のマネジメントをマスターすれば何階層でもリードできる。

 

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ジェームズ・キャメロン  元英国陸軍将校。英国陸軍参謀本部最優秀将校(受賞2回)。大英帝国三等勲爵士(CBE)。最年少でサンドハースト王立陸軍士官学校教官就任。元英国国防省テロ対策部長補佐。2005年のロンドン市内テロ発生時の政府の危機管理対策委員会(COBRA)メンバー。 

   

102. 組織はブランド

ダミアン・マッキニーは言う。「軍隊はブランドだ。将校の振る舞いに加え、軍服、装備、建物など全てに気を配る。厳しい職業に人材を集める為にはブランドとしての魅力が欠かせない。紋章や軍団旗にこだわったローマ時代からの伝統だ」。リモート環境下で、社員が本社ビルや名刺を通して自社をブランドとして感じる機会が減っている。社員が自社への愛着を確認できる『ブランド戦略』が必要だ。

 

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ダミアン・マッキニー  元英国海兵隊将校。大英帝国五等勲爵士(MBE)。1999年マッキニーロジャーズ設立。東アフリカ、ケニア生まれ。

   

101. リーダーだけがリーダーを教えられる

士官学校の教官と戦場の指揮官は2-3年のローテーションで入れ替わる。教官は戦場の経験を伝え、指揮官は最新理論を戦場で使う。”Only leaders can teach leaders” ジェームズ・キャメロンの口癖だ。ビジネスでも、現場リーダーが社内教育を経験することで変化が起こる。現場の部下が変わる。教えられた生徒が変わる。教えたリーダー自身が変わる。

 

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ジェームズ・キャメロン  元英国陸軍将校。英国陸軍参謀本部最優秀将校(受賞2回)。大英帝国三等勲爵士(CBE)。最年少でサンドハースト王立陸軍士官学校教官就任。元英国国防省テロ対策部長補佐。2005年のロンドン市内テロ発生時の政府の危機管理対策委員会(COBRA)メンバー。 

   

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