連載 多国籍軍に学ぶ組織変革

50. 聴くか?死ぬか?

刻々と変化する戦場で部下の報告や意見を聴く事は、死傷者を最少にして勝利するために不可欠だ。上官は、自分からの話を最短にする、敢えて後方に座る、発言者の目を見て頷くなど、意図的に部下が話しやすい環境を作る。

ビジネスに於いても、変化する環境下で部下から情報やアイデアを引き出せなければ判断を誤る。サー・ロバート・フライは言う。「戦場と比べるとビジネスでは部下の意見を聞く姿勢が弱い。部下が意見を言い易くするスキルも低い。死ぬことが無いからだ。」

 

勇気とは、着席して耳を傾けることである  by ウィンストン・チャーチル

  

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16. Why do you have meetings?

39. 見る・聞く・感じる

 

サー・ロバート・フライ  元英国海兵隊中将 (KCB, CBE)。9.11同時多発テロ対応英国軍事戦略責任者、英国国防省作戦本部長、イラク多国籍軍副司令官等を歴任。ロンドン市名誉市民。

サー・ウィンストン・チャーチル  サンドハースト王立陸軍士官学校卒。英国海軍大臣(1911-1915、1939-1940)。英国首相(1940-1945、1951-1955)  

49. ミッションから逆算しろ

優秀なリーダーであっても常に正しい決断ができる保証は無い。ダミアン・マッキニーは言う。「自分の決断に不安を感じた時は、ミッション達成から逆算する。全ての決断は、生き残ってミッションを達成するための手段だ。」

ビジネスでは、後々の自分の評価や、現在の部下の不満に引きずられて迷いが生じる。命が懸っていないからだ。ミッション達成の最終責任を取る覚悟をすれば迷いは無くなる。

  

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8. パニックと対峙する

17. 最後は直感

22. 殺されても死なないから信頼される

 

ダミアン・マッキニー CEO  元英国海兵隊将校。大英帝国五等勲爵士(MBE)。1999年マッキニーロジャーズ設立。東アフリカ、ケニア生まれ。  

48. 危機下こそ任せろ

マーク・ノートンは言う。「地上戦で最悪の状況とは敵に包囲される事だ。その時、恐怖に駆られた隊長が本能に従うと、部下一人一人に細かく指示を出してしまう。全滅コースだ。一人の隊長が何十人分の最適行動を瞬時に判断出来るはずがない。生き残る隊長は、どこに血路を開くかという決断に集中し、個別の戦闘判断は部下に任せる。士官学校では本能を抑えて部下に任せる習慣を叩き込む。」
ビジネスでは危機下において上司が全部指示してしまうことがある。逆だ。危機下のリーダーに求められるのは、大局の決断と、現場への権限移譲だ。平時でもそのやり方が組織の力を引き出す。
  

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9. 後ろから撃たれる上司

14. 士官は作られ将軍は生まれる

22. リーダーシップは不自然

27. 信頼する前に任せる

 

マーク・ノートン  元英国陸軍将校。元サンドハースト王立陸軍士官学校教官。 

47. 最新兵器を舐めるな

軍人は最新テクノロジーに貪欲だ。優秀な兵士が束になっても最新兵器にかなわない事は、信長の火縄銃、日露戦争の機関銃、第二次世界大戦の航空機と、歴史が証明している。軍人は未完成の新兵器を使う事に躊躇が無い。敵が先に使うリスクを知っているからだ。
軍隊と比べるとビジネス界は最新テクノロジーに対する危機感が弱い。予算、技術的な成熟度、社員の適応力、全社の足並みなど、導入を先送りする理由がいくらでもあるからだ。
ダミアン・マッキニーは言う。「特殊部隊の兵士が10人いても、最新のロボット兵器1台に勝てない時代が必ず来る。自分が使う側に立つ以外ないだろう?」
  

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21.「教える」と「指示する」は違う

43. 恐怖を知れ!

 

ダミアン・マッキニー CEO  元英国海兵隊将校。大英帝国五等勲爵士(MBE)。1999年マッキニーロジャーズ設立。東アフリカ、ケニア生まれ。 

46. 真のパラシュート部隊を作れ

戦場で最も尊敬される集団の一つがパラシュート部隊だ。敵の後方に展開して挟み撃ちにする効果は絶大だが、包囲されることを前提に単身降下する勇気は尋常ではない。アレックス・マッケンジーは言う。「それでもパラシュート部隊を志願する者がいるのは、困難なミッションを成功させる鍵だという誇りがあるからだ。」
ビジネスではパラシュート部隊のイメージは悪い。本社から着任して短期間様子だけ見て戻る人間がいるからだ。尊敬すべきは、仕事の大小に関わらず、降下後の退路を断って奮闘する人たちだ。
彼らが誇りを持って困難なミッションに挑戦できる組織は強い。
 

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1. 敵を知る

11. 国連決議が兵士を救う

41.「しんがり」を評価しろ

 

アレックス・マッケンジー  元英国陸軍将校。アフガニスタン戦争でパラシュート部隊指揮官を務めた。地雷で足を失った兵士たちによるカヌーでの大西洋横断Row2Recovery 代表。 

45. 勝どきを上げろ

古今東西、軍隊は勝利の直後にリーダーの音頭で勝どきをあげる。ダミアン・マッキニーは言う。「戦場は嵐の中と同じだ。兵士には戦闘が終わったことすら分からない。味方には死傷者もいる。だからこそ、勝利の直後に全員で祝福する勝どきが不可欠なのだ。」
年間売上を達成した最終日、巨大システムの稼働初日など、高い目標を達成した時ほど社員の疲労は極限に達している。そこに至る過程では不条理に近い無理を強いた事もあろう。ビジネスリーダーも勝どきのタイミングを忘れてはいけない。
今から勝どきの準備をしておかないか
 

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15. 勝つとチームになる

29. 不条理は起こる

37. 心に火をつける言葉

41.「しんがり」を評価しろ

 

ダミアン・マッキニー CEO  元英国海兵隊将校。大英帝国五等勲爵士(MBE)。1999年マッキニーロジャーズ設立。東アフリカ、ケニア生まれ。 

ニュース/最新情報

2020.3.22

2020.3.13

new! 日経Biz Gateにて、岩本の記事 「新型コロナは対テロ戦 リーダーシップは多国籍軍流で 」 が掲載されました。

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2018.10.26

SMBC日興証券清水社長が、朝日新聞広告特集『リーダーたちの本棚』にて弊社書籍を紹介してくださいました。

2018.9.14

2018.8.24

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2018.5.18

2018.3.16

2018.2.17

2018.2.5

日経電子版(Biz Gate)にて、岩本の連載第6回 「仲間が地雷踏む それでも英兵はジョーク」  が掲載されました。