3.「任せる」と「丸投げ」は違う

2011年5月1日午後10時過ぎ(東部夏時間)、米国海軍特殊部隊シールズは、パキスタン北部アボッタバードでウサマ・ビン・ラディンを殺害した。ホワイトハウス危機管理室では、オバマ大統領、クリントン国務長官、ゲーツ国防長官らが作戦の進捗を隊員のヘルメットに装着されたテレビカメラを通じてリアルタイム映像で全てモニターしていた。作戦成功を確認した1時間後、オバマ大統領は深夜時間帯としては異例の記者会見を開き、全世界にビン・ラディン殺害を正式に発表、"Justice has been done"(正義はなされた)と宣言した。 

 

「ホワイトハウスは全てをモニターしていたが、指示は一切出していない。例えば、作戦中に墜落したブラックホーク・ヘリコプターも、現場判断で直ちに爆破され、代替のチヌーク・ヘリコプターを急行させ作戦は続行された。同時に、モニターされている事はプロフェッショナルとしてのシールズ隊員の使命感を間違いなく上げた。」と元英国特殊部隊指揮官ダミアン・マッキニーは解説する。

 

複数企業の経営者として権限移譲を実践してきた岩本仁は言う。「『ウチの上司は任せたと言うのに、いつも数字をチェックしている。』という不平を聞く事がある。これは間違いだ。任せるのは『判断』と『行動』であって、『情報共有』は大前提。情報共有無しでは単なる『丸投げ』だ。オバマ大統領がビン・ラディン殺害直後にメッセージを出し、誤報や噂による混乱を避けられたのは、ホワイトハウスがリアルタイムで情報共有していたからだ。 ビジネスに於いても『判断と行動は任せるが、情報共有は必ず行う』という事前合意の基に仕事をすべき。これが『任せる』状態であり、ビジネスパフォーマンスを向上させる。」 (マッキニーロジャーズジャパン 清水 泉)

 

ダミアン・マッキニー   元英国海兵隊将校。大英帝国五等勲爵士(MBE)。1999年マッキニーロジャーズ設立。東アフリカ、ケニア生まれ。

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